メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2003年のエルドアン-バイカル密談

昨日(3月11日)のラディカル紙に、第一野党CHPの前党首デニズ・バイカル氏の談話が掲載されていた。
この談話で、バイカル氏は、2003年の2月頃に取り交わされたとされるエルドアン現大統領との“密約”の噂を否定している。
2002年11月の総選挙で、AKPは第一党に躍り出たものの、党首だったエルドアン氏は、被選挙権を剥奪されていたので、選挙に出ることが出来なかった。しかし、バイカル氏の主導により法が改正され、翌3月9日の補欠選挙で、エルドアン氏は当選する運びとなった。
この為、エルドアン氏とバイカル氏との間に、当時のセゼル大統領の後継はバイカル氏という密約が取り交わされていたのではないかと長い間噂されていた。これをバイカル氏は否定したのである。
しかし、2003年の2月に、エルドアン氏と極秘の会談があったことは認め、初めてその内容について語ったという。会談は、エルドアン氏の要請で行なわれ、アメリカ軍の国内通過是非を問う3月1日の議会票決が主な議題だったらしい。
当時、エルドアン氏のAKPは、アメリカのイラク戦争に協力的な姿勢を見せていたので、3月1日の議会票決も通るのではないかと見られていたが、AKPの内部に離反者が出て、これは否決されてしまった。
会談で、エルドアン氏はバイカル氏に、否決された場合、アメリカはどういう反応を示すだろうか、それは我々にどのような否定的影響をもたらすだろうか、と問うたそうである。
あの票決は、AKPがアメリカに協力を約束して置きながら、内部離反者が出るのを承知で議会にかけた出来レースじゃなかったのかと、当時も噂されていたけれど、前以て、バイカル氏とエルドアン氏の間に極秘の会談があったというのでは、『やっぱり、そうだったのか』と思えてしまう。
いずれにせよ、バイカル氏とエルドアン氏は、議会で罵り合いながらも、結構巧くやっていたらしい。
未だ御両人が、首相と第一野党党首の間柄だった頃、何かのレセプションで乾杯した際、バイカル氏はグラスにちょっと口をつけてから、「あれ、私の方にリンゴジュースが来ているぞ。すると、首相、貴方のグラスはワインじゃないのか?」などと、隣のエルドアン首相に冗談を言ったそうだ。
現在の与野党党首の険悪な関係に比べれば、よっぽど和やかだったかもしれない。以下の話からも、その和やかだった様子が覗える。 

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