メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ベデレッティン・ダラン

1984~89年にかけて、イスタンブールの市長を務めた有力な政治家でありながら、所謂エルゲネコン事件の捜査で逮捕状が出されたため、7年間に亘って国外逃亡を続けていたベデレッティン・ダラン氏が、逮捕状の取り下げにより、一昨日、トルコへ帰還した。
記者会見でダラン氏は、現在、再審の進められているエルゲネコン事件は、当時の司法に巣食っていた組織による陰謀であるとしながら、次のように語っていた。
「・・・エルドアン大統領も、あの頃、これが見えていなかったとしても、それは自然な成り行きだった。しかし、これが解ってからも、そのまま続けていたら、私は咎めただろう。だが、過ちを改めた。そして、今、正しい方に向かっている。祝福する。神よ力を与えたまえ。」
92年に、私がイスタンブールで暮らし始めた頃、周囲から聞いたダラン氏の評判はなかなか良かった。友人たちは、「イスタンブールの金角湾が、きれいになったのは、金角湾に汚水を垂れ流していた工場を、ダラン氏が賄賂で集めた金を使って立ち退かせたからだ」なんて話していた。
また、これは未だに半信半疑だけれど、99年頃だったか(もっと後だったかもしれない・・)、イズミルでタクシーに乗って、40歳ぐらいの運転手さんと雑談していたら、彼が「ベデレッティン・ダラン知ってる? 僕は彼の甥っ子なんだよ」と言い出した。
運転手さんの風貌は、確かにダラン氏のように、青みがかった目の白人だった。話し方にも、ある程度教養が感じられたし、満更嘘でもなかったかもしれないが、有力政治家の甥っ子がタクシーの運転手をやっているとも思えず、まあ、かなり疑いながら、彼の話に耳を傾けた。
彼は、近々オーストラリア(だったと思う)へ移民する予定だと語り、ダラン氏が巷で言われているほど悪い政治家だったら、トルコでもっと良い暮らしが出来たはずだと笑っていた。さて、真偽のほどは、どうなんだろう?