メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

恐ろしいATM

今日(12月15日)、街角に設置されている銀行のATMで、1000リラほど預金しようとして、オープンした挿入口に紙幣を置いたら、何枚か中へ吸い込まれて行ったようだが、紙幣の多くは、途中で閉じてしまった挿入口に挟まれて止まり、エラーの表示と共にアラームが鳴り出したので、慌てて紙幣を引き戻して、数えたところ、700リラ残っていた。
カードを入れ直して、預金額を確認してみると、吸い込まれた300リラは追加されていない。もう一度、預金できるか試してみたけれど、エラー表示が出て、機能は停止したままになっている。300リラも戻って来なかった。
300リラと言えば、約1万5千円である。素寒貧の私にとっては“大金”と言って良い。真っ青になって、最寄の支店まで走って行った。そこには、自動預払機が設置されているだけで、支店は無かったのである。
支店で苦情を述べたら、本部に連絡を取ってくれたものの、支店では他所の自動預払機に手を出せないようになっているらしい。「7日以内に、本部から連絡がありますから・・」で打ち切られてしまった。非常にショックだった。素寒貧で小心者の心臓は、未だに『あの300リラ、どうなるの?』とドキドキしている。
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銀行の自動預払機(ATM)と言えば、23年前、イズミルにいた頃の話だが、日曜日に自動預払機で預金を下ろそうとしたら、操作ボタンを押しても作動しないばかりか、挿入したカードさえ戻って来なかった。
翌朝はギリシャへ出国する予定になっていた為、仕方なく友人から金を借りて出入国を済ませ、翌々日にその銀行へ赴いて事情を説明すると、別に何事もなかったかのようにカードを返してくれた。
また、当時は自動預金にも、あっと驚くようなシステムが使われていた。
イズミルからイスタンブールに出て来た92年頃だったと思う。銀行の営業時間中に、窓口が余りにも混んでいた為、それまで使ったことのなかった自動預払機による預金を試してみた。
操作ボタンの「預金」を押すと、画面になにやら沢山の文字が表示されたものの、解りきった注意書きに違いないと無視して、預金金額を入力するなど操作を続けたところ、自動的に挿入口がオープンしたので、そこへ紙幣を投入して、さらに操作ボタンを押すと挿入口は自動的に閉まって預金は無事に終了、と思って残金を確かめてみたら、そこには預金前と同じ金額が表示されている。
「そんなバカな!」と慌てて係員を問質すと、係員は怪訝な表情を浮かべ、「今預金したのであれば、その預金が確認されるのは当然明日のことになりますが・・」と言う。この要領を得ない返答に、私は混乱しながらも「何故?」と問い返した。
すると係員は、笑みを浮かべながら、「失礼ですが、お客さんが入力した金額と実際投入された金額を後ほど行員が数えて確認しなければなりませんから」と答えた。
「えっ?」と意味が解らないまま、「私が投入した紙幣と他の人たちが投入した紙幣を、行員はいったいどうやって区別するの?」と訊いたら、係員はこの時になって驚愕の色をあらわにした。
「お客さん、まさか紙幣をそのまま投入されてしまったんですか? 備え付けの封筒には入れなかったのですか? ちょっと待って下さい。大丈夫だとは思いますが、直ぐに確認してみましょう」と言いながら、自動預払機の裏側の扉を開けて見せた。
そこには何通か白い封筒が重なった上に、私が投入した紙幣が乗っかっていたのである。
係員はその紙幣を私に返しながら、「御覧下さい。封筒の上にはこのようにお客さんが入力されたデータが印刷されるようになっているんです。この印刷する過程で紙幣が破れてしまったかもしれないと心配したんですが、どうやら大丈夫でした。これから気をつけて下さい」とホッとした様子だった。

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