メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

スザンナさんのヌナ(名付け親)

昨日、ビュユック島へ行って来た。「エヴァおばさんに会いに行こう」とスザンナさんに呼ばれたからだ。
エヴァさんには、もう4年ぐらい会っていなかったかもしれない。スザンナさんの名付け親だそうである。彼女はこのおばさんを「ヌナ」と呼んでいる。ギリシャ語で、“名付け親”といった意味になるらしい。
韓国語なら、“ヌナ”は、男が姉を呼ぶ時に使う言葉なので、スザンナさんが「ヌナ!」と呼んでいるのを聞くと、なんとなく微笑ましい感じがする。
エヴァさん、80歳はとうに過ぎているだろう。ビュユック島で、姉夫婦と暮らしていたものの、今年になって姉が亡くなり、今は亡き姉の夫だったトルコ人のイスメットさんと二人暮らしである。イスメットさんも90歳に近い御老人だが、お二人ともとても元気だった。
スザンナさんは、エヴァさんを私には「おばさん」と言って来たから、故マリアさんのお姉さんであると、ずっと思い込んでいたけれど、実際はマリアさんの母方の親族に過ぎないらしい。昨日、やっとこの事実を知ることができた。
マリアさんのお母さんは、代々コンスタンティノポリ(イスタンブール)に住んでいた家柄で、非常にエレガンスな雰囲気があったそうだ。これはマリアさんエヴァさんを見ても解る気がする。エヴァさんには、古のコンスタンティノポリの気品が漂っている。
一方、マリアさんのお父さんは、ロードス島ギリシャ人であり、イスタンブールで手広く商売を営んでいたものの、トルコ国籍を有していなかった為、1950年代に財産の殆どを失って、イスタンブールから去らなければならなくなったそうだ。
トルコ国籍を持っていたお母さんも夫を追ってギリシャへ渡ったが、マリアさんイスタンブールに残り、ロードス島出身のイタリア人と結婚したらしいけれど、この辺りの経緯がちょっと良く解らない。
このイタリア人が即ちスザンナさんのお父さんであり、お父さんは、イタリア語・ギリシャ語・トルコ語の他、フランス語にも堪能だったという。その為、スザンナさんの姓は、今でも“カチャローニ”だか“サチャローニ”だかいうイタリア姓になっている。
ロードス島は、1912年来イタリアに占領されていた時期があった為、今でもイタリア人がかなり住んでいるらしい。こんな話も昨日初めて知った。スザンナさんの家族史を調べるだけで、この辺りの複雑な歴史が紐解けて来るかもしれない。
昨日は、ビュユック島で“ルムの孤児院”として知られる建物も少し見て来た。1899年に、フランスの会社がホテルにするつもりで建設した建物を、後にルム(トルコに住むギリシャ人)が買い取り、長い間、ギリシャ正教の孤児院になっていたらしい。
一部6階建てになっていて、“世界最大の木造建築”とも言われているそうだ。今は損傷が激しく非公開だが、近々行なわれるという修復が完了すれば公開されるかもしれない。

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