メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エキメッキ・カダイフ

先月、ある会員制のクラブで夕食を御馳走になる機会があった。もちろん料理も美味しかったけれど、デザートに出て来た“エキメッキ・カダイフ”は、これまでに味わったことがないような絶品だった。
聞いたところによると、そのクラブには、有名な“ディヴァン・パスターネスィ”がお菓子を提供しているらしい。
“ディヴァン・パスターネスィ”なら、タクシムの“ディヴァン・ホテル”の地階にも店が出ている。そこで“エキメッキ・カダイフ”を食べるだけなら、もの凄く高いわけでもないだろう。
昨日、アルメニア教会で復活祭ミサを観た後、この“ディヴァン・パスターネスィ”に寄ってみた。しかし残念なことに、ここでは“エキメッキ・カダイフ”を作っていないそうだ。
「レストラン部門のデザートにはあると思います」と言われたが、そんなホテルのレストランで食事できるような身分じゃない。

結局、話を聞いただけで、“ディヴァン・パスターネスィ”を後にしたけれど、何処でも良いから、とにかく“エキメッキ・カダイフ”が食べたくなってしまった。
“エキメッキ・カダイフ”は、ピデのようなパン生地に糖蜜をしみ込ませたシンプルな菓子で、何処の“パスターネ(お菓子屋)”でも売っている。味は、大衆店の場合、甘さ以外には何も感じられないくらい甘かったりする。
それが、先月、会員制クラブで御馳走になった“エキメッキ・カダイフ”は滅法美味かったから驚いたのだ。あれはパン生地の出来具合も違っていたような気がする。糖蜜も上品な甘さだった。
昨日は“ディヴァン・パスターネスィ”を後にして、シシリーの方に向かって歩きながら、何処で“エキメッキ・カダイフ”を食べようかと考えていて、“クルクプナル”というチェーン店を思い出した。ここならシシリーのジェヴァヒル・ショッピングセンターのフードコートにもある。
それから、なるべく腹を減らそうと早足で歩いて、ジェヴァヒル・ショッピングセンターへ行き、“クルクプナル”の“エキメッキ・カダイフ”を味わって来た。ここのは、糖蜜にカラメルが効いていて、あまり上品な風味とは言えないかもしれないが、なかなか美味い。
クズルック村の工場の食堂に出て来る“エキメッキ・カダイフ”もこのカラメルを効かせたタイプだった。

イタリアのミラノへ、長期に亘って出張させられていたトルコ人エンジニアが、久しぶりに戻って来て、その“エキメッキ・カダイフ”を食べながら、「俺がイタリアで、この味をどれほど懐かしんでいたか解らないだろう? 外に出て、初めてこの菓子の有難みが解ったよ」と唸っていたのを思い出す。 

f:id:makoton1960:20191019191439j:plain