メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

盲目のトルコ人画家

 昨年、“盲目のトルコ人画家”について、日本から問い合わせがあった。私はそんな画家がいることも知らなかったけれど、画家の氏名も明記されていたので、それから検索して調べてみた。
トルコでも余り知られていないようであり、まずそこに疑わしさを感じた。ネットには、画家に関する記事がいくつか出ていたものの、いずれも数年前の一時期に集中している。少し話題に上っただけで、直ぐ下火になったらしい。
弱視であれば、棟方志功氏の例もあるからと思ったが、生まれついての全盲というのでは、『いったい何を描くのか?』と訝しげに思えてしまう。トルコ語の記事を読んでも、“弱視”であるとか、“以前は視力があった”などの記述は見当たらなかった。しかも、描いているのは“風景画”なのだから、いよいよ怪しくなる。
この画家には、ウエブサイトもあって、これを見ると、どうやらアメリカ人の夫人が積極的に広報に努めているようだ。それで、「直接、夫人に英語で問い合わせてみたら如何ですか?」と返信して、この件を終わらせた。多少、『妙なものには関わりたくない』という気持ちが働いていたのは、確かかもしれない。
しかし、“全盲の画家”は、やはり常識的に考えて有り得ないと思う。