メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

なんでも流行が終わる頃に始まる

イスタンブールには映画館がかなりあって、映画産業は未だ衰えを見せていないようである。これは、いったいどういうことなのか良く解らない。トルコは、オスマン帝国時代の1914年に最初のドキュメンタリー映画を制作しているそうだから、映画産業への参入はそんなに遅くない。60年代以降、相当数の映画を作り続けて来た。それにも拘らず、近年、また新たな流行が始まったかのように、どんどん新作が封切られている。

パソコンも相当普及しているから、映画はDVDでいくらでも観ることができる。しかも、新作がDVD化されるのもかなり早い。何故、映画館へ足を運ぶ若い人たちが多いのか不思議に思える。

ひょっとすると、彼らの目的は映画を観ることじゃないのかもしれない。ようやく、高校や大学へ行く若者たちの男女交際が当たり前になってきたけれど、ラブホテルなんて無いし、まだそういう段階までは達していない。それで、映画館辺りがちょうど良いデートコースになっている。まあ、そういう機微が殆ど解っていない青春落伍者の推察だから、全くあてにならないが・・・。

日本最初の劇映画は、1899年の制作だったらしい。トルコより一歩先んじているし、その後の発展も早かった。世界的に知られる映画監督も輩出している。その他、クラシック音楽などへの参入も遥かに早かっただろう。

ところが、いつだったか、こんなトルコの新聞記事を読んだ。「トルコは近代化の過程で、西欧の芸術など全てを取り入れようと努力したが、日本は産業化だけに的を絞ったので巧く行った・・・」。このジャーナリストはいったい何を見ていたのか?

産業化も確かに早かった。日本は、蒸気機関車の時代に、もう欧米の背中が見える所まで追い付いていたはずだ。航空機の開発などは、ほぼ同時期に実現している。トルコは残念ながら、“パソコンの時代になってから参入してきた”部類じゃないかと思う。

でも、これから時代を先取りして行かなければならないのに、“モノ作りの精神”なんて構っていられないかもしれない。さもないと、もっと時代に乗り遅れてしまう。

日本や西欧が、「そろそろリニアか・・」と言っている時に、ようやく高速鉄道の導入を図ろうとしている。

原子力も、世界が脱原発へ向かい始める頃になって、やっと足がかりを掴んだ。おそらく、原子力の技術だけは何としても手に入れたいのではないだろうか。

韓国との交渉が頓挫したのも、こちらの報道によれば、技術供与と損害補償の面で折り合いがつかなかった為らしい。日本とフランスの技術に期待しているようだ。フランスはともかく、日本からは将来廃炉の技術も期待できるかもしれない。しかし、日本側としたら、損害補償の件が気になるが・・・。