メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

マルマライで海峡横断

海峡横断地下鉄“マルマライ”、現在の開業区間でも、シルケジ駅さえ開業すれば、私にとっても相当便利になるのは間違いない。アジア側のアイルルックチェシメ駅では、既存の地下鉄路線にも乗り換えられる。
何より、船で20分掛かっていた海峡横断が4分に短縮される。船は、接岸して乗客を乗り降りさせる時間も含めれば、20分では済まないだろう。それに、乗り損ねると、次の船まで30分も待たされたりする。
マルマライは、遥かに短い間隔で運行されるはずだが、今のところ、車両の数に限りがあるらしい。導入予定の車両は、未だ製造が完了していないそうである。車両を供給しているのは韓国のヒュンダイ・ロテム。労使紛争で製造が遅れていたりして・・・。
開通式後の試運行では、ギュル大統領が運転席に座り、その周りには、エルドアン首相やチチェック国会議長のようなトルコの要人ばかりでなく、安倍首相を始めとする国賓も立ち並び、狭い運転室はすし詰め満員の状態に見えた。
昨日、サバー紙のエムレ・アキョズ氏は、「テロ対策は万全だったのか?」なんて書いていたけれど、例えば、警護厳重なアメリカの大統領だったら、絶対にあの電車には乗らなかったと思う。でも、だからああいう大国は好感を持たれないんじゃないだろうか。
とはいえ、昨日も停電といった非常事態が発生していたらしい。要人を乗せた電車が、無事、イェニカプに到着して本当に良かった。そもそも各駅でさえ、間際になって完成したぐらいで、15日間の無料運行というのは一種のテスト期間であるかもしれない。
政権支持者の中からも、これに対しては批判の声が出ていた。もちろん、AKP政権のやることには何でも反対の左派知識人たちは、もっと声高に危惧を唱えている。海底トンネルそのものの安全性を疑問視して、「私だったら乗らない」と述べた知識人もいた。
乗らなければ良いだろう。そういう知識人たちは、普段からバスや地下鉄を余り利用していないような気がする。彼らが乗らなくても、たくさんの人々を乗せて電車は走り続けるし、トルコも発展を続けると思う。