メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

“胸の谷間”騒動

トルコ版“スター誕生”みたいな新番組の女性司会者が、“胸の谷間が半分見えるようなドレス”を着ていたために、ちょっとした騒ぎになっている。チェリック副首相が「あれは行き過ぎだ」と批判し、女性司会者は降板させられたそうである。
しかし、一説によると、チェリック副首相がつまらないことを言う前に、視聴者から司会者の服装に対して非難が殺到していて、制作側は降板を検討していたらしい。
いずれが真実なのか解らないが、あの司会者のドレスは、NHKであれば間違いなくアウトだろう。民放でも“お色気番組”でしか許されないと思う。その意味では、チェリック副首相の発言もそれほどズレているわけじゃない。
この司会者がまたコンセルバトゥワール出身の“女優さん”だそうだ。次はお願いだから、パンツも脱いで、騒ぎを大きくしてもらいたい。でも、日本の出来た女優さんなら、芸の為には全て脱いで、役者魂を見せ付けるけれど、用もないのに“胸の谷間”を見せて物議をかもしたりしないような気がする。

それよりも、この事件で興味深いのは、司会者の服装を非難したという視聴者の傾向じゃないかと思う。

おそらく、あの服装が不愉快だと言うのだから、わりと信心深い人たちに違いない。そんな人たちが、“スター誕生”みたいな番組を観て喜んでいる。

そればかりか、ネット上で“敬虔な意見”を開陳し、これに“敬虔な”副首相まで便乗している。確かに、イスラム主義という高邁なイデオロギーは終焉を迎えたのかもしれない。
政治家は“川下ニーズ”に応えないと選挙に勝てないからしょうがないのか・・・。
こうして、トルコの社会もどんどん俗っぽくなって行くような気がする。しかし、宗教色も濃くなっているから、何処かで道徳的な歯止めは掛かるんじゃないだろうか。高尚な闘争よりも、俗っぽい平和のほうが、我々にとっては有り難い。 

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