メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

私たちの台所

昨日の昼は、エミノニュの“ビズィム・ムトゥファク・ロカンタス”というレストランで食べた。この店は、典型的な“エスナフ・ロカンタス(商工人の食堂?)”で、煮込み料理のような家庭の味をメインにしている。店の名前も“ビズィム・ムトゥファク(私たちの台所)”だ。

ラマダンの断食も最後の追い上げで(今日終了する)、実践率は多少高くなっているはずだが、店内は、昼時とあってかなり混雑していた。利用者は、その殆どが、近くの会社や商店で働くトルコの人たちだったと思う。 

エミノニュには外国人ツーリストも多いが、セルフサービスでギャルソンの応対もないため、ツーリストは入り難いのかもしれない。店側も特にツーリストをターゲットにしたサービスはしていないようである。

料理も美味しかったし、内装等、なかなか洒落ていたのに、料金はそれほど高くない。全てのシステムが整然としていた。オープンキッチンの調理担当に女性が多かったのも印象的だ。大手資本によるチェーン店じゃないかと思って、ネットで調べたら、ウルケル製菓で有名なユルドゥズ・ホールディングの経営だった。

ラマダンの断食、今年の実践率はどのくらいだったのだろう? 開始数日後の報道によれば、この数年、実践率は減り続けていて、今年も初日は昨年より低かったそうだ。

この報道では、工場等に昼食を提供している外食業者に問い合わせて、実践率を調べたらしい。今年、初日に昼食を食べなかった人は30%ほどで、昨年より1%ぐらい少なかったと言うのである。

もちろん、この調べ方では、勤労者の実践率しか出て来ない。定年退職者や専業主婦の実践率は遥かに高いと思われるから、全体的にはもっと上の数値が出るのだろう。しかし、初日だけは気合を入れて断食する人も多いから、30%は随分少ないようにも思える。記者は、これを断食時間の増加と関連付けて分析していた。

イスラム暦によりラマダンの開始日は、毎年、11日ずつ早まり、今年は7月9日に始まった。夏至を過ぎるまで、断食時間は増え続けることになる。その頃には、少し涼しくなっているかもしれないが、近年、気候の変動によるのか、イスタンブールでは、6月にも8月と変わらないくらい暑い日が多い。断食を実践するには、まだまだ辛い時期が続きそうだ。

また、その記事には、工場等の経営者が、かなり厳格なムスリムであっても、勤労者に断食を強要することなく昼食を提供しているという指摘もあった。

“ビズィム・ムトゥファク(私たちの台所)”を経営するユルドゥズ・ホールディングもイスラム色の強い企業として知られ、あらゆる食品分野へ進出しているにも拘わらず、アルコールには全く手を出していないが、「ラマダン中の昼はレストランを休業します」なんて言わない。トルコでは、別に不思議なことでも何でもないが・・・。

 

f:id:makoton1960:20191013155141j:plain