メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

素人のケバブ屋さん?

うちの近所で、昨年の夏頃に開店したジャー・ケバブ専門店、この辺りは住宅があるだけで、人が集まるような場所じゃないから、経営も難しいだろう。

昨年、歩道やら水道管の工事で、そこらじゅう掘り返していた時分は、現場の人たちが食べに来ていたようだけれど、工事が終わって、街は静かになり、店も静かになってしまった。

ジャー・ケバブの本場であるエルズルム出身の家族が経営している。普段は、55~6歳ぐらいのお父さんと30歳ぐらいの息子で切り盛りしているが、時々、息子の嫁さんに、お父さんの義理兄も来て手伝っている。家族総出は良いけれど、お客さんが3人しか座っていなかったりすると何だか寂しい。

朴訥とした、とても感じの良い人たちで、店の前を通るたびに挨拶されるから、もう少し寄ってあげたい気もするが、さすがにケバブだけのメニューでは、多くても月に2~3回がいいところである。

先月、ここで食べていたら、食卓の塩容器や楊枝入れといったレストラン用品を扱う会社の営業マンが来ていた。

「うちで各種の香辛料なども取り寄せることが出来ます。ここはスマックを使っていないんですか?」
「スマック?」
「ええ、何処のレストランでも使っていますよ。玉葱にちょっと入れるだけでも味がぐっと良くなります」

お父さんは、スマックを知らなかったようだ。何だかそそっかしい息子夫婦はともかく、お父さんには少なくともレストランで働いた経験ぐらいあるのかと思っていたけれど、スマックも知らないのでは、ちょっと違うような気がして来た。

訊いたら、お父さんの村では、誰でもジャー・ケバブを作るという。それで、見様見真似でレストランの経営に乗り出したらしい。随分思い切ったことをするものである。

 

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