メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イスタンブールのルムは戻って来るのか?

昨年の11月、ジャーナリストのハールク・シャーヒンさんが、教鞭を取っているビルギ大学で、“イスタンブールの報道史(1830年-1914年)におけるルム(トルコ在住のギリシャ人)の報道機関とジャーナリスト”というシンポジウムを主催していたので出かけてみた。
シンポジウムでは、ハールク・シャーヒンさんの他、3名のルムの方たちが発表を行っていた。中でもアテネ在住のニコ・ウズンオウル氏は、企画者の一人であり、「国外の“イスタンブールのルム”国際協会」の会長を務めているそうだ。
シンポジウムの後、ニコ・ウズンオウル氏と一緒にハールク・シャーヒンさんの車で、市の中心部まで送ってもらったので、その時、ニコ・ウズンオウル氏とも少し話す機会があった。
御本人に理由を訊いたりしなかったが、ニコはギリシャ人の名前でも、“ウズンオウル”は、トルコ人の姓である。イスタンブール生まれのイスタンブール育ちだそうで、よどみのない綺麗なトルコ語を話されていた。
数日後、インターネットで“ニコ・ウズンオウル氏”を検索してみたら、以下の記事が見つかった。

 題して、「イスタンブールのルムは戻って来るのか?」。先日、これをまた読み返してみた。
2011年、アルトユストという雑誌に掲載された記事のようだが、トルコの著名な詩人であるセファ・カプラン氏が、ニコ・ウズンオウル氏にインタビューしている。
記事によると、トルコ共和国の成立以後、国外への移住を余儀なくされた12万人のルムが、トルコへの帰還を希望しているらしい。
ちょっと驚いたのは、このインタビューを受ける前に、ニコ・ウズンオウル氏が、アテネエルドアン首相と会っていたという話。エルドアン首相はニコ・ウズンオウル氏に、こう語ったそうである。
「貴方たちはトルコの人です。トルコ共和国の同胞です。望むなら、いつでも戻って来られます。そして、戻って来るべきです」。
インタビューでニコ・ウズンオウル氏は、トルコのEU担当国務大臣エゲメン・バーシュ氏とは、もっと詳細な内容を話し合ったと明らかにしている。今後の展開に注目してみたい。