メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

“アラブの春”-トルコは春爛漫

昔から、アラブの男たちがイスタンブールへ旅行に来るのは、自国じゃ出来ない飲酒や女遊びを楽しむためだったらしい。
それが、黒装束の奥方たちを連れて来てしまったら、お楽しみどころじゃないだろう。結構、せっせと家族サービスに努めているように見える。“アラブの春”も悪くない。
しかし、まだラマダンの最中に、昼間からホテルのカフェで奥方を前にしてワインをがぶ飲みしている男もいた。奥方は黒装束じゃなかったものの、きっちりスカーフを被って敬虔そうな服装であり、もちろんワインに口をつけたりしてしない。この夫婦、話している言葉はアラビア語のように聞こえたけれど、シリアとかヨルダン辺りだろうか?
まあ、トルコでは、スカーフを被った敬虔な服装の女性が、亭主らしき男と一緒にビールを飲んでいるのを見てびっくりしたこともあるが・・・
もう随分前から、女性はスカーフ姿のカップルたちが、街中で人目を憚らずにいちゃついたりするのは珍しいことじゃなくなった。中にはキスしたりする連中もいる。トルコは“春爛漫”といったところだろうか・・・。
また、この2~3年、ラマダンになると、「断食しようという気持ちが大切なんです」という言葉が良く聞かれるようになった。要するに『気持ちはあるんですが・・・』と言いたいらしい。しかし、夏場に17時間も断食するのは、仕事の内容によっては殆ど不可能だろうから、“気持ちが大切”で済ませられるのは有難い話だ。そもそも信仰とは“気持ち”の問題であるかもしれない。
トルコの人たちにはイスラム以前に遡る長い文明の蓄積があるから、その信仰もバランスを欠いてしまうことはないように思える。