メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

君子危うきに近寄らず

 イスタンブールのアジア側にも地下鉄が開通しました。カドゥキョイ~カルタルまで約30分の路線で、今日から始まったラマダン明けの祝祭中は無料運行になるそうです。
私は今日、ギョズテペに用事があって出掛けたので、その帰り、試しにギョズテペ~カドゥキョイの区間を利用してみると、昼の2時半というのに、私のような初物好きが多いのか車内は大混雑でした。
終点のカドゥキョイで降り、混み合うコンコースを歩いていて、突然、響き渡った女性の怒鳴り声に驚き、その方を見たら、ノースリーブの白いシャツにジーパンという出で立ちの若い女性が何やら腕を振り上げて走り出そうとしているのを、同じような服装の若い女性が必死に止めています。
『何だろう?』と思いながら、そのまま彼女らを追い越し、エスカレーター脇のこれまた混み合っている階段を上って半分ぐらいまで来たところ、ちょうど直ぐ隣を行くエスカレーターの後ろの方から、さきほどよりもっと激しい女性の怒号が聞こえたので振り返ったら、歯をむき出し、もの凄い形相になった白シャツ・ジーパンの女性が何事か叫び、エスカレーターの手すりに捉まって体を支えながら足を振り上げ、前方を行く若い男に蹴りを入れようとしているのです。女性は体を鍛えているのか、なかなか見事な足の上がり方でした。
今度は連れの若い女性も止めようとせず、一緒に叫びながら、足を蹴りあげる友人を支えています。こちらも凄い形相。メスのマントヒヒといったところでしょうか。
蹴りを入れられた若い男を見ると、これがへんてこな髪型をした不良っぽい奴で、何か怒鳴り返しながら口を大きく開き、殆ど抗争中のオス・チンパンジーといった形相。しかし、腕を振り上げて威嚇したものの、蹴り返すようなことはなく、直ぐ周りの人たちに抑えられ、大人しくエスカレーターを上がって行きました。
続いて、やはり周りの人たちに抑えられた女性2人が上がってくると、彼女たちは懲りもせず、また何やら金切り声を上げ、男は周りの人から抑えられた姿勢のまま、今度は割りと落ち着いた声で、「俺は隣の子に向かって言ったのに、自分に言われたと勘違いしやがって! いい気になるんじゃねえ!」と怒鳴り、女性たちが詰め寄ろうとすると、さらに落ち着きを取り戻し、「警備室へ行って話そう」と半ば捨て台詞のように言って立ち去ろうとしたけれど、改札口の所で追いついた女性が振り回したハンドバックを肩の辺りに当てられたようでした。
やれやれトルコの娘たちもなかなかやります。私にとって世界で比較対象になるのは、日本と韓国の女性だけですが、トルコの女性たちは、日本の女性ほど大人しくないものの、その激しさは韓国の女性に遠く及ばない、というのが私の観察だったのに、あの娘たちは韓国女性に負けていません。何にせよ、とても見応えのある活劇を見せてもらいました。
それから地下駅を出たら、あの娘たちが直ぐ横を歩いているのに気がついたので、ちょっと注意して見ると、すっかり落ち着いた彼女たちは相当な美形です。いずれも黒い長い髪でラテン風な顔立ち、スタイルも抜群なうえ、ごくまともな雰囲気のお嬢さんで、あばずれっぽいところは全くありません。それが、ひとたび怒ったら、歯をむき出してあの形相ですからねえ・・・。君子は危うきものに近寄りたくなくなってしまいます。

merhaba-ajansi.hatenablog.com