メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

正札なしの商売

これから恋愛しようという女性に、「ソープランドに良く行きます」なんて言うのは、本当に困ったものですが、この友人や私ばかりじゃなくて日本にはこういう男がかなり多いように思います。 

しかし、いくら正直に行こうとしたって、恋心を感じている女性に、性的な欲望を伝えてしまうわけには行かないでしょう。 

昔聞いた話、大阪は道頓堀の引っ掛け橋で、100人ぐらいの女性に「おめこせえへんか?」と声をかけると、一人ぐらいは「しよしよ」とついて来てくれるそうです。

もちろん、こんなものは恋愛じゃないし、真っ当な男女関係とも思えませんが、正直と言えば、これほど正直な関係もないはずです。正直なんて碌なものじゃない・・・。

でも、日本では、男女のことに限らず、こういう馬鹿正直がまかり通っているかもしれません。物を売ろうとしても、「丹精こめて良い物を作れば絶対に売れる」という信念が先行して、馬鹿正直な価格で売ったりしてしまいます。 

多くの日本人は、正札を付けないで商売することさえ“嘘くさい”と感じてしまうようだけれど、トルコの商人道徳からすれば、原価1万円のものを客に見せて、それを巧く100万円で売っても悪いことではないらしい。

原価50万円の良品を見せておいて、1万円の粗悪品を渡したら、客を騙したことになるものの、売る商品を“正直”に見せていれば、後は客との駆け引きだから、客が「これは良い」と思って、100万円の価格に同意すれば、商人がなんら恥じることはないそうです。 

イスラム教は、こういう商人たちが作った宗教だから、トルコの人たちの中には、100万円の原価は1万円ぐらいと承知しながら信じている人も少なくないような気がします。 

日本では、「本音と建前」なんて良く言いますが、建前を“建前”と仄めかしながら言ってしまうのは日本人だけじゃないでしょうか? 

韓国人もトルコ人も、言ってることの何処までが本音で、何処からが建前なのかさっぱり解らない。本人さえ解っていないかもしれません。私はもうトルコ人の宗教やイデオロギーの話は“話半分”で聞くことにしました。