メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

自家製ラク

トルコの国民酒とも言うべきラク、ハタイ県では、自家製を楽しんでいる人たちも多いそうです。この話、3年ほど前に、ハタイ県出身のアラブ系ギリシャ正教徒であるデスピナーさんから聞きました。
トルコの法律では、自家製の酒を販売したら罪に問われるけれど、自分たちで飲むだけなら許されているので、密造酒というわけではありません。
ヴァクフル村で、この自家製ラクを一杯御馳走になりました。市販のラクほど甘くなく、アニスの香りも穏やかで、とても美味でした。
バスの運転手さんによると、彼のフドゥルベイ村でも、ラクを造っている家はあるけれど、質はヴァクフル村に及ばないそうです。「サマンダーの町には、半ば販売目的で作っている所もあるが、そういうラクは止めた方が良い。薬品を使っているという噂もある」と言ってました。
自家製のラクを御馳走してくれたのは、まだ40代ぐらいのアルメニア人の方で、ラクの製法についても詳しく説明してくれました。ヴァクフル村は、葡萄の栽培が盛んなので、この葡萄を自然発酵させてから蒸留し、これにアニスを加え、もう一度蒸留して完成。私が頂いたラクは、昨年収穫した葡萄から造られたそうです。
「アルコールを蒸留する技術は、アラビアの発明で、ラクもアラブの人たちが造り始めました。我々アルメニア人はワインやコニャック造りに優れていますが、ラク造りはアラブの人たちから教わったのです」
デスピナーさんは、「ハタイの町で、何処かの家がラクを造り始めると、アニスの香りが町に漂うから直ぐに解る」と話していたけれど、このアルメニア人の方に訊いたら、「それは、随分昔の話ですよ」と笑っていました。昔は、蒸留器の管に穴が開いていたりして、蒸発したアルコール分が漏れてしまい、外に漂い出ていたという話。アニスの香りが漂う町を歩いてみたかったから、これにはがっかりでした。

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