メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

恐妻家?

チュニジアとエジプトの騒乱は、日本でも話題になっているようだけれど、その延長で、トルコにも好奇な視線が向けられたりすると、思わず「ちょっと待って下さい」と言いたくなってしまいます。

私はチュニジアやエジプトに行ったことはありませんが、騒乱に関する報道を聞く限り、トルコとは文化的にも社会的にも、かなり隔たった国々であると感じました。トルコでは、社会の構造からして、ああいった独裁者が現れるのは不可能じゃないでしょうか。

数年前、トルコで暮らす外国人が、「ギュル大統領に実際会ったら、とても腰が低くて紳士的な人物だったので驚いた」と話題にしているのを聞いた世俗派トルコ人の友人は、「トルコ共和国の大統領だよ。当たり前じゃないか」と苦笑いしていました。彼は世俗主義者として、いつもギュル大統領をこっぴどく非難していたものの、さすがに“腰が低くて紳士的”ぐらいで驚かれるのは心外だったようです。

エルドアン首相にしても、その政策やネポティズムへの批判はさておき、一国の宰相として、まずは遜色のない人物でしょう。

メディアが何処まで実像を伝えているのか解らないけれど、メディアに映るギュル大統領とエルドアン首相を見ていると、共通してとても好ましく思えるところがあります。お二人とも際立った恐妻家のように見える点です。特に、エルドアン首相は、政治家として非常に強面なイメージがあるため、そのギャップがことさら強調されているかもしれません。

1月23日のミリエト紙によると、アラルコ財閥のイスハク・アラトン会長の娘であるレイラ女史が、財界の会合に出席したエルドアン首相に対し、女性の社会進出を支援するよう求めながら、「貴方の奥さんが如何に強い女性であるかは皆が知っています。そのため、貴方はフェミニストにならざるを得ないのです」と迫ったところ、エルドアン首相は、「レイラさん、私を煽っているね」と笑ってから、レイラ女史に政界入りを勧めたそうです。

エルドアン首相、外遊先へ、奥さんばかりか娘さんも良く連れて行くので、これまた批判されているし、もっともな批判だとは思うけれど、あの強面首相が、奥さんや娘さんの前で、なんとなくデレデレしている様子は、多少微笑ましくもあります。