クルド
もしも沖縄の人たちが、この駄文を読んでいたとしたら、かなり不愉快に思う人も少なくないのではないかと恐れる。「我々の独立の主張をもっと真摯に取り上げてくれ!」と憤る方もいるかもしれないが、それとは真逆に「我々も普通の日本人である」と抗議する…
この「川崎の産廃屋」で沖縄の人たちと1年の間共に生活して得た見聞は忘れ難い。それまで3年にわたってトルコで暮らしながら、「クルド問題」などを部外者の視点から多少興味本位に見ていたけれど、日本にも「民族問題」が存在しているのではないかと切実…
2015年、ノーベル化学賞を受賞したアジズ・サンジャル氏に電話でインタビューした英国のBBC放送は、まず始めに「貴方はアラブ人なのか?」と問うたそうである。これに立腹したサンジャル氏は、「ジズレで生まれたとしても、カルスで生まれたとしても…
この10年のトルコの変化を振り返って見ると、与党AKPと野党CHPの立ち位置が逆転してしまったかのようである。10年前、CHPは野党ではあるものの、アタテュルクの政党として共和国体制の守護者をもって任じており、EU加盟を目標に掲げながらク…
韓国語は、もとより仕事に使える技術として身に着けるつもりで勉強し始めた。トルコ語にそういった明確な目標があったわけじゃない。当初は一年ぐらいトルコで勉強して日本へ帰り、また韓国関連の仕事へ戻ることも考えていた。 それが何故、20年以上関わる…
昨日、ワシントンで開かれた反IS連合の外相会議に出席したチャヴシュオール外相は、トルコによるIS掃討戦の過程を説明すると共に、シリアのクルド武装勢力YPG/PKKがテロ組織であることを改めて強調したという。 10日ほど前には、北イラク・クル…
20年以上暮らしたトルコは、私にとって第二の故郷と言える。そのため、何かにつけてトルコの肩を持ちたくなってしまうかもしれない。 しかし、公平に見ても、国際社会の中でトルコほど不当に扱われている国は珍しいのではないかと思う。 100年前の西欧…
先日、ネットで色々検索していたら、MIT(トルコ国家情報局)の前長官であるエムレ・タネル氏が、アルジャジーラ紙トルコ語版のインタビューに応じた2016年11月9日の記事が出て来た。 トルコ人女性ジャーナリストの問いに答えたタネル氏は、自身も…
旧ホームページに書いた数年前の駄文をこのブログで再掲載する作業を進めながら、トルコ関連の記事を読み返してみると、書いた当時は気づかなかったことに「おや?」と思ったり、「そういえばあれはどうなってしまったんだろう?」と考えさせられたりする。 …
トルコのメディアを見ていると、「公共料金の値上げは戦費調達のためだから仕方ない」といった記述が出て来たり、「戦争に反対するのはPKK国家に賛成ということだ」なんて見出しが躍っていたりする。もはや戦時体制に近い状況であるかもしれない。 ソビエ…
深層国家(deep state)という表現は、米国でも使われているそうだけれど、これはトルコ語の「derin devlet(深層国家)」に由来しているらしい。 この「derin devlet(深層国家)」が、トルコでいつ頃から使われるようになったのか良く解らないが、2000…
死を覚悟して戦地へ赴く軍人の心理がいったいどういうものであるのか私には想像もつかないが、やはり合理的には考えられない激しい熱情に駆られているのではないだろうか? そして、その熱情を宗教的な信心であるとか、民族主義的なイデオロギーが支えている…
イスタンブールの正式な名称は、20世紀の初頭に至るまで「コンスタンティニイェ」だった。当時は、市の人口の半数近くをギリシャ正教徒やユダヤ人のような非イスラム教徒が占めていて、コスモポリス的な雰囲気が漂っていたそうである。 現在は、その殆どが…
トルコでは、アブドゥルラー・ギュル前大統領やアリ・ババジャン元副首相といったAKPの重鎮らによる新党結成がいよいよ実現するらしい。 エルドアン大統領は、これを裏切り行為であると詰りつけているけれど、どうなんだろう? AKPは、当初、「軍の影…
「メルハバ通信」の記事を書き始めた18年前、トルコでは政教分離の世俗主義とイスラム主義の対立が問題になっていた。日本でも、トルコのイスラム主義勢力が台頭して、イランのような「イスラム革命」が起きるのではないかと論じられたりしていた。 私は、…
最近の週末は、部屋に籠ったままネットでトルコの新聞記事を拾い読みして、ここに駄文を書いたりするだけで終わってしまう。何だか何処で暮らしているのか解らなくなる。しかし、やはりトルコのニュースは気になって仕方がない。 先週は、イムラル島の特別な…
4月3日付けハベルテュルク紙のコラムで、ハッキャリ県出身のクルド人ジャーナリストであるムフスィン・クズルカヤ氏が、今回の選挙におけるクルド人の動向を説明していた。要約すると以下のようになる。1990年代、トルコ政府は、PKKの温床になってい…
少数民族の問題がいつ頃から提起されるようになったのか解らないが、「少数民族」という概念も西欧の産物だったのではないかと思う。その少数民族の問題だが、日本のように殆ど同一の民族から成り立っていた島国の住人はもちろん、大陸でもドイツの人たちは…
今月末に予定されているトルコの地方選挙では、「国の存亡」と共に「クルディスタン」という名称も争点になっているらしい。クルド系政党HDPは「クルディスタン」に拘り、エルドアン大統領は「トルコに“クルディスタン”などという地域はない」と反論して…
帰国途中の22日、モスクワのシェレメーチエヴォ空港で、2人連れのトルコ人と出会った。ユスフさんとフルシットさん。彼らは、日本からトルコへ帰国する途中だそうである。両人ともガズィアンテプ県の出身、エスニック的にはクルド人であり、この17~18…
国民投票の結果について、少し周囲の人たちの見解を聞いてみた。 まず、スザンナさんは、票差が僅かだったことを残念がっていた。圧倒的な大差で反エルドアン派を黙らせたかったらしい。 一方、保守的なムスリムである近所の家電修理屋さんは、「余り大差が…
北朝鮮の建国者である金日成が、1945年の9月、ソビエト軍と共に帰国するまでの前半生は、あまり明らかになっていないらしい。そのため、かつて韓国政府は、北朝鮮をソビエトの傀儡政権と見做して、「北傀」と呼んだりしていた。しかし、韓国で初代大統…
トルコの多くの人たちが、欧米に対して激しく憤っている最も大きな要因は、PKKやギュレン教団といったテロ組織が、欧米で相変わらず庇護されている状況にあるのではないかと思う。先日、スイスのベルンでは、公然とPKK支持者らがデモを行い、「エルド…
憲法改正の国民投票で、AKPとMHPの票が集まった場合、軽く60%を超えてもおかしくないけれど、MHPからは相当な離反票が出るのではないかと言われている。一方、AKP側にも、賛否を未だ決めかねている支持者は少なくないらしい。また、南東部で…
昨日(3月7日)、ニュース専門局CNNトルコに出演したシムシェク副首相は、憲法改正や経済に関する見解を述べた後で、キャスターから「クルド語もそのぐらい話せるんですか?」と訊かれて、「もしもそうであれば・・・」と苦笑いしていた。シムシェク副…
北朝鮮のミサイル発射は、トルコのメディアでも大きく取り上げられている。今年に入ってから、北朝鮮の問題に限らず、「中国とアメリカが衝突するのではないか?」といった極東全体の情勢が良く話題になっていたけれど、この一件で一層「極東」に注目が集ま…
この川崎の産廃屋の寮で、私を在日の韓国人と勘違いして、「日本人というのは随分おかしな連中だな。おまえもそう思わないか」と訊いた沖縄出身のKさんは、「自分のことを日本人だとは全く考えていない」と明らかにしていた。 彼は、沖縄から本土へ出て来る…
2013年3月2日、サバー紙のコラムで、エンギン・アルドゥッチ氏は、当時の憲法改正議論に関して、以下のように述べていた。「現存する国家を過去のものにして、新たに全く異なる国家を築くのであれば、それは法改正とか国民投票などで出来るものじゃな…
昨日(12月17日)、エキストラ配給エージェントから面接を受けて来るように言われて、ベシクタシュにある映像制作会社のオフィスを訪れた。こうやって指示通りに面接を受けていれば、5回に1回ぐらいは採用されることもある。 オフィスは、12月10日…
2016年12月10日、イスタンブールのベシクタシュで発生した爆破テロは、PKKの関連組織が犯行声明を出したそうである。しかし、トルコでは、これを「欧米が仕掛けている代理戦争」の一部と主張する識者も少なくない。欧米は、PKKやギュレン教団…