メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エルドアン

上海協力機構首脳会議の会場で腕を組んで歩いたエルドアン大統領とプーチン大統領

ウズベキスタンのサマルカンドで開催された上海協力機構の首脳会議に、NATOの加盟国であるトルコが「対話パートナー」として参加したのは、もっと大きく報じられても良いニュースだったのではないかと思う。 もちろん、トルコでは各ニュース専門局の討論…

スターリンとエルドアン

11日から勤務先は盆休みに入っている。福岡の配送センターも三宮の警備員の職場も年中無休で盆や正月に長期休暇などなかったから何だか奇妙な感じがする。 当初はこの休暇を利用して、東京に行って来る予定だったが、母の容態もあり、いつでも鹿児島へ行け…

プーチン氏の人物像は?

ウクライナの情勢、トルコではアイドゥンルック紙のような親ロシア派のメディアに限らず「ロシア軍の優勢」を伝える報道は当初より散見されていたけれど、この数日、日本でも「ロシア軍が東部を完全に制圧しつつある」というニュースが見られるようになった…

「ジエリスタンの日本人テロリスト?!」

《2015年12月13日付け記事の再々録》 北イラク料理屋などもあるアクサライ(イスタンブール)の界隈には、ケバブの類をメインにした庶民的な店が軒を並べている。レバー(肝臓)串焼きの「ジエリスタン」はその中でもひと際目立っていた。ジエルがレ…

プーチン大統領のエルドアン大統領に対する評価

《2020年12月20日付け記事を修正して再録》 トルコの報道によれば、ロシアのプーチン大統領は、17日(2020年12月)、恒例の年末記者会見で、「エルドアン大統領とは意見の対立もあるが、彼は言を守る男だ。トルコの国益に適うと思ったことは…

エルドアン大統領とオザル大統領

《2021年11月3日付け記事の再録》 2013年6月の“ゲズィ公園騒動”の際、市民を代表してエルドアン首相(当時)と対話した俳優のカディル・イナヌル氏が、「いつも、こうやって穏やかに話せば良いのに・・」と意見したところ、エルドアン首相は、「…

エルドアン大統領も独裁者と言われているけれど・・・

プーチン大統領と共に、エルドアン大統領も欧米で「独裁者」と言われてきたけれど、ソビエトの時代からKGBという国家機構の中枢を歩んできたプーチン氏と異なり、エルドアン氏は国家体制から抑圧されていた「イスラム主義運動」に加わって頭角を現したア…

ウクライナ侵攻は「独裁者プーチン」の仕業なのか?

ウクライナの状況、トルコの時事番組をYouTubeで視聴しても様々な説・主張が飛び交っていて、いずれが正しいのか良く解らない。 多くの識者が、欧米はロシアを疲弊させるためにウクライナの泥沼に引っ張り込んだと論じているけれど、その泥沼で最も疲弊し苦…

パシャという敬称

上記の駄文で、19世紀にオスマン帝国の高官として活躍したヴァルタン・パシャを「ヴァルタン将軍」と言い表してしまったけれど、ヴァルタン・パシャは文官であり、軍の高官というわけじゃなかった。 「パシャ」が「将軍」に限定されるようになったのは共和…

トルコリラの暴落と早期選挙

トルコリラの急激な下落が止まらない。生活物資の値上がりも続いているようだ。 このため、元来エルドアン政権の支持層だった保守的な庶民の中からも政権を批判する声が上がってきた。2017年4月まで私が暮らしていたイエニドアンでも、SNSに政権批判…

「トルコ人」というアイデンティティー

3日ほど前、トルコの南東部クルド・アラブ地域のバットマンで、学生との対話集会に参席したエルドアン大統領に対してクルド語で話しかけた女子学生が話題になっている。 政権寄りの識者たちは、これをクルド問題における大きな前進と評価しているようだが、…

日本とトルコの投票所の光景

10月31日の衆議院選挙、私は特に一票投じたいという気持ちもなかったけれど、投票の様子を見ておこうと思って行くことにした。投票が行われた小学校は家から自転車で5分もかからない所にある。 投票を終えたのは4時40分頃だったが、場内は人影も疎ら…

「7月15日のクーデター事件」~イスタンブール運河プロジェクト

あの忌まわしい「7月15日のクーデター事件」から今日で5年を迎えた。 思えば、2013年6月1日の「ゲズィ公園騒動」以来、トルコは激動の日々を送ってきた。そのクライマックスが2016年7月15日のクーデター事件だったのではないかと思う。 ク…

ゲズィ公園騒動デモ隊の不甲斐なさ?

エルドアン大統領とAKP政権は、発足した2002年~2009年頃まで明らかに親欧米の政権と見做されていた。 それで、EU加盟交渉にも熱心に取り組んでいたけれど、反対派は「EUはトルコ軍の弱体化を狙っている」と主張していた。中には「EUの要求…

ゲズィ公園騒動の背景

2013年6月の騒動の舞台となったゲズィ公園の辺りには、オスマン帝国時代に軍の兵舎として設営された建物があったらしい。 この建物は、1940年にアンリ・プロストというフランス人建築家の都市計画にもとづいて取り壊され、その跡地がゲズィ公園にな…

2013年6月1日の「ゲズィ公園騒動」

今日(6月1日)であの「ゲズィ公園騒動」から8年が経過したことになる。 私は4年前の6月1日にも「トルコの“激動の4年間”」という駄文を書いて、「ゲズィ公園騒動」から過ぎた4年間を振り返ってみた。 その中で、“激動の4年間”の要因がアフメット・…

トルコの同性愛者(ビュレント・エルソイ氏)

《2016年6月21日付け記事の再録》 エルドアン大統領夫妻と並んでイフタル(断食明けの夕食)の席に座っていたビュレント・エルソイ氏は、1952年の生まれで、現在64歳(2016年当時)。エルドアン大統領と握手している写真は、服装が異なるか…

「主題が祖国であれば残りは瑣末な事柄である!」(アタテュルク)

アタテュルクの言葉に「Söz konusu vatansa gerisi teferruattır.(主題が祖国であれば残りは瑣末な事柄である)」という有名な一節がある。 アタテュルクは祖国を守るため、ラディカルな西欧主義者やイスラム主義者とも手を組んだらしい。カラル紙のイブラ…

女性に甘いエルドアン大統領は女性差別主義者なのか?

2018年だったと思う。YouTubeで視聴していたトルコのニュース番組に、エルドアン大統領も参席した式典の模様が映し出された。エルドアン大統領は隣に立っている小柄な老婦人に、身を屈めるようにしながら何か話し掛けている。 最初は、そのモダンな服装…

日本の森叩きとトルコのエルドアン叩き

森元首相がメディアで袋叩きにされる発端となった「女性がたくさんいる理事会は時間がかかる」という発言は、そもそも他の人の発言を森元首相が談話の中で引用しただけであるという。 そんな「フェイクニュース」と言える代物で袋叩きにされたのでは堪ったも…

中国のウイグル問題は、トルコのドウ・ペリンチェク氏が解決する?

1月29日、中国のウイグル問題について、トルコの祖国党(Vatan Partisi)党首ドウ・ペリンチェク氏が発言している。 祖国党は国会に議席を持たない弱小政党ではあるけれど、軍部に影響力があるとされ、現在、トルコ政界におけるドウ・ペリンチェク氏の発…

ブッシュ大統領に投げつけられた靴

SNSに、この「ブッシュ大統領へ靴が投げつけられた場面」がシェアされていた。 2008年の12月、イラクを訪れていたブッシュ大統領がバクダッドの記者会見場で、イラク人の記者から靴を投げつけられた場面である。 当時、トルコでは、その靴の製造元…

米国が介入した不可解な選挙?

米国の大統領選挙に大規模な不正があったという「陰謀説」も下火になったようだけれど、米国が他国の選挙に介入したり、政府の転覆を図ったりした「陰謀」は、イラン・コントラ事件のように後から露見してしまった例も見られる。 トルコでは、2016年の「…

選挙による民主主義の限界?

「米国では直接選挙によって国民が大統領を選ぶ」と言うけれど、その選択肢は共和党と民主党の候補に限られているようだ。 候補者はそれぞれの党から様々な段階を経て選ばれるため、余りにも非常識だったり、「国家の機構」と対立したりするような人物が出て…

エルドアン大統領に対する評価

トルコの報道によれば、ロシアのプーチン大統領は、17日、恒例の年末記者会見で、「エルドアン大統領とは意見の対立もあるが、彼は言を守る男だ。トルコの国益に適うと思ったことは最後までやり通す」と語ったそうである。 私はこれを読んで論語に出て来る…

エルドアン大統領の謎

エルドアン大統領は、欧米が喧伝しているような「独裁者」では、もちろんないけれど、支持者らが主張するような「英雄」でもないと思う。 必ず矢面に立ち、リスクを避けたりはしないが、決して冒険を試みることはなく、バランスを保ちながら何事も慎重に時間…

トルコは民主主義の国なのか?

この「トルコは制御不能か?」という論説の中で、グラハム・フラー氏は「エルドアンが野党への圧力を強めているとはいえ、トルコは未だ民主主義の国である」と述べ、その例として、昨年の地方選挙における与党AKPの敗北を上げている。 あの敗北では、AK…

エルドアン大統領の夫人/雨に濡れながら佇むひとがいる

2011年の1月23日にミリエト紙が報じたところによると、当時、トルコの大手ゼネコン・アラルコ社の会長だったユダヤ人実業家イスハク・アラトン氏(2016年に他界)の娘であるレイラ氏は、財界の会合に出席したエルドアン首相に対し、女性の社会進…

エルドアン大統領は恐妻家?/イスラム女性の社会進出

《2014年1月29日付け記事の再録》 イスラムでは、4人の妻を娶ることが許されていて、女性蔑視が甚だしいと言われているけれど、論語に出て来る「匹夫匹婦」が賤しい庶民の意になるのは、貴族であれば一夫多妻が当然だったかららしい。日本の歴史を振…

「我々は強くなければならない」:エルドアン大統領

《2017年7月20日付け記事の再録》 野党CHPのクルチダルオウル党首らが、司法の「公正」などを訴えながら「行進」して以来、欧米では、トルコの「不公正な司法」への批判が、また高まりを見せていたらしい。これに対して、トルコの識者の中からは、…